概要
那覇大綱挽まつりは、沖縄県那覇市で毎年10月の体育の日前後3日間に開催される秋の大型行事です。那覇市の三大祭りの一つに数えられ、メインイベントである「那覇大綱挽」はギネスブックに「世界一のわら綱」として3回認定された記録を持ちます。祭り期間中は国際通りでの旗頭行列や国道58号線での大綱挽のほか、奥武山総合運動公園でRBC市民フェスティバルが同時開催され、3日間でのべ約28万5000人の観客が集まります。
この祭りは、単なる観光イベントではなく、那覇市民にとって「繁栄・幸福・団結」を象徴するコミュニケーションの場です。東西に分かれた参加者が大綱を引き合う行為には、陰陽の結合による人類繁栄の願いが込められています。なお、2011年度までは「那覇まつり」の名称で親しまれていましたが、平成23年度から「那覇大綱挽まつり」に改称されました。
歴史・由来
那覇大綱挽の起源は、西暦1450年頃までさかのぼるとされています。琉球王国時代、那覇は浮島と呼ばれた一港村から発展し、交易品を取り扱う御物城や久米村の設置を経て西村・東村・若狭町村・泉崎村の「那覇四町」と呼ばれる都市に成長しました。地方農村の綱引きが雨乞いや五穀豊穣を目的としたのに対し、那覇の大綱挽は交易都市ならではの町方の行事として成立しました。
江戸時代に入ると、勝負に熱中するあまり喧嘩口論が絶えなかったことから、1812年(嘉慶17年・文化9年)に那覇里主・御物城の命により「那覇綱挽規模帳」(規則集)が制定されました。この規定により、以後は秩序ある形で綱挽が実施されるようになりました。明治以降もお祝い綱として幾度も開催されましたが、1935年(昭和10年)を最後に一度途絶えてしまいました。
戦後、首里・小禄・真和志を合併して大那覇市となったことを契機に、1971年(昭和46年)、当時の平良良松市長により市制50周年記念事業として「10・10那覇空襲」の日に復活しました。この復活は、沖縄の祖国復帰前年という歴史的なタイミングでもあり、平和と繁栄への祈りを込めた再出発となりました。
その後、那覇大綱挽は年々規模を拡大し、1995年の第25回大会でギネスブックに「米藁で製作された世界一の綱」として初認定されました。翌1996年と1997年にも記録更新が確認され、3回のギネス認定を達成しています。2012年には、地方自治法施行60周年記念五百円貨幣の沖縄県代表として那覇大綱挽がデザインされ、全国にその名が知られることとなりました。
見どころ
旗頭行列(うふんなすねーい) 祭り2日目の午前11時30分頃、那覇市内14町のシンボルである旗頭が壺屋小学校を出発し、国際通りを練り歩きます。各町の若者(にーせーたー)が黒色の股引半套(むむぬちはんたー)姿で旗を掲げ、爆竹の音が街中に響き渡ります。この行列は古来、綱挽と必ずセットで行われる伝統的な序幕です。
綱寄せ(かぬちちじ) 大綱挽の開始前、東西の女綱(みーんな)と男綱(をぅーんな)を頭貫棒(かぬちぼう)で結合する儀式です。この結合は陰と陽の融合を意味し、人類繁栄を願う神話的な行為とされています。2022年の第52回大会では、この準備段階で西の綱が切れるアクシデントが発生し、安全を考慮して引き分けとなりました。
支度我栄(したくがーえー) 綱の結合後、歴史上の人物に扮した「支度」と呼ばれる演者が綱の上で見得を切るパフォーマンスです。勇壮な所作と衣装で観客の気分を高め、くす玉が割られると勝負の開始合図となります。この伝統的な演技は、琉球王国時代の武芸や芸能の影響を色濃く残しています。
那覇大綱挽(本勝負) 全長200メートル、直径約1.56メートル、総重量40トンの世界最大のわら綱を東西に分かれて引き合います。手綱は280本あり、1万5000人の挽き手が一斉に綱を引く光景は圧巻です。勝負はかぬちぐちが東西5メートルの勝負線を越えるか、3メートル以上動いた方が判定勝利となり、決着まで通常20~30分かかります。
嘉例綱取り(かりーづなとり) 綱挽終了後、参加者は手綱を切り取って縁起物として持ち帰ることができます。この「嘉例綱」は家庭円満や子宝、商売繁盛などのご利益があると信じられています。会場では多くの人が綱の切れ端を求めて殺到し、祭りの最後を盛り上げます。
RBC市民フェスティバル 奥武山総合運動公園で3日間開催される併催イベントで、カラオケ選手権や音楽ステージ、連日の打ち上げ花火(20時30分~)など多彩な催しが行われます。家族連れで楽しめるプログラムが充実しており、大綱挽の興奮をさらに引き立てます。
開催情報・アクセス
- 開催日程:毎年10月の体育の日を含む土・日・月の3日間。メインの大綱挽は2日目(日曜日)の14時30分~19時頃。第56回(令和8年)は10月10日(土)~12日(月)に開催予定。
- 会場:旗頭行列は国際通り、大綱挽は国道58号線久茂地交差点。RBC市民フェスティバルは奥武山総合運動公園。
- 入場料:すべて無料(観覧自由)。
- アクセス(公共交通機関):那覇空港からゆいレールで約15分(奥武山公園駅下車徒歩3分、壷川駅下車徒歩1分)。路線バスでは軍桟橋前バス停から徒歩5分。
- 駐車場:専用駐車場なし。祭り開催に伴い周辺道路で交通規制が実施されるため、公共交通機関の利用が推奨される。
- 問い合わせ先:那覇大綱挽まつり実行委員会事務局(那覇市観光課) TEL 098-862-3276。最新の開催日程や中止・延期の有無は公式サイト(那覇市観光協会など)で必ず確認すること。
周辺情報
那覇大綱挽まつりのメイン会場は那覇市の中心部・久茂地交差点と国際通りに位置します。国際通りは全長約1.6キロメートルの繁華街で、土産物店や沖縄料理の飲食店が軒を連ね、祭り期間中は歩行者天国となる区間もあります。歴史的な建物では、琉球王国時代の交易所を復元した「てんぶす那覇」や、那覇市立壺屋焼物博物館などが徒歩圏内にあり、観光と併せて訪れることができます。
奥武山総合運動公園は那覇市の南部に広がる総合公園で、RBC市民フェスティバルの会場となるほか、園内には世界遺産・識名園や沖縄県立武道館があります。公園からは那覇港や遠く慶良間諸島を望むことができ、花火観賞の絶好のスポットとしても人気です。祭りに参加しない日でも、公園内のジョギングコースや子ども向け遊具で過ごす家族連れの姿が見られます。
那覇市内には首里城公園や福州園、波上宮など多数の観光スポットが点在しており、祭り前後の滞在で充実した旅程を組むことができます。特に、那覇大綱挽の起源となった那覇四町のエリア(西・東・若狭・泉崎)を歩けば、当時の町割りや歴史的な寺社の名残を感じることができ、祭りの理解をより深められるでしょう。
関連情報
- ギネス世界記録:那覇大綱挽は1995年、1996年、1997年の3回にわたり「世界一のわら綱」としてギネス認定された。記録更新の際にはギネス社編集長が来訪して確認を行った。
- 五百円貨幣デザイン:2012年7月18日に発行された地方自治法施行60周年記念五百円貨幣の沖縄県代表として、那覇大綱挽がメインデザインに採用された。
- 2022年綱切断アクシデント:第52回大会(2022年)で、綱寄せの段階で西の綱が切断。新型コロナ対策による参加者制限と仕様変更が原因とみられ、参加者の安全を最優先して引き分けとした。
- 保存会の活動:那覇大綱挽保存会(一般社団法人)が主催・運営を担い、伝統技術の継承や毎年の綱の新調、若手育成に取り組んでいる。
- 名称変更:2011年度まで「那覇まつり」として親しまれてきたが、平成23年度に「那覇大綱挽まつり」へ改称。大綱挽を祭りの核として明確に打ち出す意図があった。
- 旗頭のまち宣言:那覇市は2023年10月に「旗頭のまち」を宣言。各町内で継承される14旗の旗頭は、地域の結束と伝統文化の象徴として重要な役割を果たしている。
出典・関連リンク
- 📚 出典: Wikipedia, Wikidata (CC BY-SA 4.0)
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- 🌐 Wikipedia (English)
- 🔁 English version: Naha Great Tug-of-War Festival